銀の抗菌

銀は消臭スプレーなどさまざまな商品の成分として用いられています。そこで、こちらのページでは銀イオンの抗菌性について紹介しています。また、銀イオンに関するさまざまな疑問とその答えなどについてもまとめていますので、銀イオンについて知りたいと考えている方は本ページの内容を参考にしてみてください。

銀の抗菌原理について

銀イオンには抗菌性があると考えられており、さまざまな場面で用いられています。ドラッグストアなどで見かける商品などでも「銀イオン」という表記をよく目にすると感じている方も多いかもしれません。しかしなぜ銀イオンには抗菌性があると考えられているのかを知りたい、と考える方もいるのではないでしょうか。

元々銀イオンとは銀の元素から電子が放出されて、プラスの電化を帯びた状態を表しています。そのままでは非常な状態であり、何かに結びつこうとする性質を持っています。

この点から、銀イオンは微生物菌の酸素と結びつこうとして、微生物（ウイルスや細菌など）の細胞内に取り込まれます。この時取り込まれた銀イオンはタンパク質などと結合することによってその機能を阻害するため、細胞分裂などができなくなります。このように、タンパク質の機能障害によって活性酸素種が発生し、微生物細胞が死滅すると考えられています。

銀イオンに対する疑念と答え

銀イオンを利用するにあたり、さまざまな疑念や疑問が出てくることもあるでしょう。そこでここでは3つの疑問について取り上げていますので、参考にしてみてください。

水に溶かすと水銀になるのか

「銀」と「水銀」は似た名前であるため、「銀を水に溶かしたときに水銀になるのか？」という疑問を持つ方もいるようです。水銀は水銀体温計になどに使用されている物質ですが、水銀排出による環境汚染などが世界的にも問題視されている状況となっています。

水銀にはならない

こちらの疑問への答えとしては、「銀を水に溶かしても水銀にはなりません」となります。そもそも、銀と水銀はその名前こそ似ていますが、全く異なる金属物質です。名前が似ているために誤解を生む場合もありますが、この2種類は元素記号で見ると銀は「Ag」、水銀は「Hg」となっているように、別の金属であることがわかります。

残留性はあるか否か

また、銀イオンについては「残留性はないのではないか」というイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。これは、厚生労働省による「レジオネラ症の知識と浴場の衛生管理」において「残留性がない」との記述があることが影響していると考えられます。

残留性はある

上記でご紹介している厚生労働省の「レジオネラ症の知識と浴場の衛生管理」の中では、銀イオンを「銀系抗菌が塗布された抗菌濾材」と捉えていることから「残留性がない」と記載していますが、この表現については不十分であったと厚生労働省が認めています。

本来、銀イオンとは「水中に溶解した銀の原子」を意味しており、残留性があることが知られています。すなわち、こちらの疑問への答えとしては「銀イオンには残留性がある」といえます。

自然環境へ影響はあるか

近年自然環境保護の意識が高まっていることもあり、「銀イオンは自然環境に影響はあるのか」という点が気になっている方もいるのではないでしょうか。こちらの疑問についても見ていきましょう。

汚染の影響はそこまで心配しなくてよい

排水中では銀イオンは活性がなくなります。さらに、濃度も検出限界を下回る数値まで希薄化されます。そのため、排水が河川に流れたとしても、自然界への影響はないとされています。以上から、銀イオンによる汚染の影響についてはそこまで心配しなくても良いと考えられます。